エチオピア滞在記(2003年10月3日):まっしろな気持ち
目の前でいろいろ起こる海外で真っ白な気持ち大切にしよう
伊瀬義治
韓国の仁川空港に到着したのはお昼過ぎ。
次のフライトの出発まで3時間25分もある。
時間に余裕があるので、特に急ぐことなどせず、のんびりとセキュリティ・チェックを通過する。
セキュリティー・チェックでは、私の前にインド人の御一行様。
宗教かなにかはよくわからないけど、全員が金属の腕輪をはめている。
しかも海外旅行、飛行機に乗るのが初めてのようで、セキュリティ・チェックの要領もよくわかっていない様子。
一人、一人が通るたびにみんながみんな、見事に4、5回、ピー、ピーと金属探知機のアラームを鳴らしてくれる。
女性のセキュリティがサリーの袖をめくると金属の輪っかがジャラジャラとついている。
それを外しても、またピー、ピーとアラームがなる。
腰のベルト、足の輪っか、とにかく金属の輪っかが体中についている。
何分待ったことだろうか。
やっと私の番になるが、私は、問題なく一度で金属探知機ゲートを通り過ぎる。
これで、自由になったかと思うと、次はエスカレーターという難所があった。
インド人の御一行様はエスカレーターにも慣れていないようで、みんなスムーズにエスカレーターに乗ることができない。
エスカレーターの前で一歩踏み出すことに躊躇してしまうのだ。
最年長と思われるおばちゃんは、エスカレーターの前で立ちすくんでしまっている。
よろめきながら足を一歩踏み出すまでに約3分。
時間に余裕があり、特に急いでいるわけでもなかったので、私は微笑ましくその光景をのんびりと眺める。
以前だったら、イライラしていたかもしれない。
のんびりと次のフライトのゲートの前まで行き空いている椅子に座る。
次のフライトまではまだまだ時間があるので、人はほとんどいない。
しばらくすると怒った大阪弁が聞こえてくる。
どうやら、超過の荷物の料金をまけろと女性スタッフの前で騒いでいる。
日本語がわからない女性スタッフに対して、
「俺はeveryday only大韓航空や!!わからへん!!only Japanese!!」
と叫んでいる。
そのうち、上司がやってくる。
こちらまで、話の内容はよく聞こえてくる。
結局、3万円分の荷物の超過料金を無料にするということを了解してもらったらしい。
ずっと、一人で
「そんなこと絶対にできません」
と頑張っていた女性スタッフは不満な表情。
ルールを守っていたにもかかわらず、日本人に怒鳴られた上、上司にも
「何をやっているんだ」
という感じで、その日本人客の前で怒られ、頭を下げさせられる。
日本から一歩外に出るといろいろな人が、いろいろなことをしてくれる。
ただ、それらの風景を特に同様もせず、とてつもなく冷静にながめている自分にはびっくりだ。
おそらく、目的地のアフリカ、エチオピアでは、もっと想定外のことがたくさん起こるだろうから、なにが怒っても動揺しないという準備ができているのかもしれない。
そういえば、前にもこんなことがあった。
中学1年生の時に親の転勤でアメリカに引越しをしたときのことだ。
アメリカにいっても特にカルチャーショックを受けることはなかった。
おそらく、何がおこってもおかしくないから動揺はしないこと、と気持ちを真っ白にして渡米したからかもしれない。
今回の状況もそのときの状況とよく似ている。
楽しみではあるが、大きな期待をすることはなく、何がおこっても驚かないように気持ちを真っ白にしているようだ。
長期の海外渡航に真っ白な気持ちは欠かせない。
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