エチオピア滞在記(2003年10月5日):ボレ国際空港にて
真夜中に初めて降り立つエチオピア疲れとトラブル感動などない
伊瀬義治
「着陸態勢に入りました」との機内アナウンスで目が覚める。
どんな景色が見えるのかワクワクしながら、窓の外を眺めてみると、何も見えない。。。。。。
あかりなのか、何だかよくわからない光の点がまばらにかすかに見えるのだが、果たしてそれが光なのかどうかもわからない。
それくらい上空から見下ろすアジス・アベバの街は暗かった。
飛行機がアジス・アベバのボレ国際空港に着陸したのは午前1時10分だったのでそりゃまぁ暗いのかもしれないが、おかげで私のアジス・アベバの第一印象は「暗い街」になってしまった。
「シートベルト装着」のライトが消えると、パッセンジャーは一斉に席を立ち通路に並ぶ。
私はのんびりと椅子にすわったまま足元においていたバックパックを隣の席に乗せ、中からトレーナーと冬用のジャケットを取り出した。
エチオピアに旅発つ前にエチオピアのことをよく知る大学院の先輩から、
「冬用のジャンパーだけは忘れないでね」
と言われていた。
アフリカといえども、エチオピアの首都アジス・アベバは標高2000mから一番高いところでは3200mの場所に位置するため、寒いのである。
しかも、午前1時過ぎとなれば外は相当寒いと思い、防寒着をすぐに取り出せるようにバックパックに入れておいたのだ。
しかし、さすがに空港の中は暖く、外に出るまでには額を垂れる汗を何度か拭う必要があった。
エチオピアは初めてだけど、アフリカの国の入国はじめてではない。
これまでにケニア、タンザニア、南アフリカに入国した経験があり入国する際にトラブルになったことはない。
今回も大丈夫だろうと気軽にかまえていると、予想は的中してまったく問題なく入国でき、荷物もしっかりと届いた。
しかし、空港で両替をする予定だったものの、さすがに深夜だからなのか営業している銀行は見当たらない。
アライバルゲートの外にでたらさすがにあるだろうと思い、税関に列にならぶ。
そこではなぜか、私の前をいくみなさんスーツケースをX線検査の機械に通している。
飛行機に乗り込む時にX線検査をすることには慣れているが、みんな空港の外に出るためにX線検査をしているのである。
「銃とか危ないものを持ち込まれないようにしてるんだろうな。そんなもの持ってないから、まぁ私はだいじょうぶだろうな」
と勝手に思いながら列にならぶ。
しかーし、X線検査を抜けたところで、係員が
「Open」
と一言。
めんどくさーい、と思いながらウェストポーチから鍵をだしスーツケースを開ける。
係員はスーツケースを開けて、いろいろと物色しはじめる。
特にテープレコーダーなどの電化製品には敏感だ。
そして「これはなんだ」と取り出したのはカメラのフィルムだった。
20本も持ってきているので、確かに怪しいといえば怪しい。
「調査をするためのフィルムです」と言ってもなかなかわかってもらえない。
イライラしながら、
「調査をするためのフィルムです」
と何度もくりかえしていると、そのうち係員は諦めてくれたようでスーツケースの蓋を閉める。
アライバルゲートの外に出て、銀行を探してみるものの、営業している銀行は見当たらない。
そもそも数も2軒程度しかない。
旅たつ前にあらゆる人から「空港で両替できるから大丈夫だよ」と言われていたものの、いきなりエチオピアの洗礼を受けている感じである。
「困ったなー。ドルを持っているからなんとかなるかなー」と考えていると、一緒の飛行機に乗っていた大学院の先輩が待っていてくれた。
どうやら同じホテルに泊まることになっているようで、先輩が空港に乗り入れているタクシーと交渉をはじめてくれる。
空港から市内まで50ブルという。
1ドルが8.4ブルなので50ブルということは6ドル程度である。
そのように考えると安く感じるのだが、先輩の話しによると深夜料金でちょっと高くなっているとのこと。
交渉がなかなか成立せず、結局45ブルで決着。
今回、交渉したのは黄色のタクシー。
街中でよく見かけるタクシーは青いタクシーだと先輩が教えてくれた。
昔は青いタクシーも空港まで乗り入れていて、自由に交渉ができていたらしい。
最近は黄色いタクシーしか空港に乗り入れることができなくなっているようで、値段も割高になっているとのこと。
とりあえず、先輩のおかげで、エチオピアの現地通貨を持たないまま、目的地のホテルに到着。
ホテルに到着した第一印象は「アフリカの割にはきれいなホテル」である。
時差も含めて長い長い1日だったので、とりあえず明日(と言っても、すでに日付は変わっているが)の午前中はずっと寝ているつもりでベッドに入って考える。
はて、今回先輩がいなかったらいったい私は空港からホテルまでちゃんとたどり着けただろうかと考える。
しかし、考えてはみたものの既に結果オーライだったので、そんなことを考えるだけ無駄だと思う。
おそらくは、結局はどうにかなっていたんだろうな、という結論に落ち着き目を閉じたのでした。
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