エチオピア滞在記(2003年10月4日):アフリカ行きの飛行機の中はアフリカ仕様
バンコクでアフリカ行きの飛行機に搭乗すればそこはアフリカ
伊瀬義治
なんやかんやありながらも無事に到着したバンコクの空港。
これから、ついにエチオピア行きの飛行機に乗ると思うと、思ったほど緊張感もわくわく感もあまりない。
バンコクが楽しすぎて、バンコクを離れる寂しさのほうが強いのかもしれない。
しかし、よくよく考えたら、エチオピア行きのチケットも持たないまま、よくもまぁ、日本の人々に「今から、エチオピアに行ってくる!」と豪語していたもんだ、と今更ながらに思う。
出国手続きを済ませたあとでも、楽しめるお店がたくさんあるのが外国の空港のいいところだ。
とりあえず、搭乗ゲートの場所を確かめるために搭乗ゲートまで行く。
搭乗ゲートを確かめたあとは、空港をウロウロと歩き回る。
私は空港が好きで、初めての空港は端から端まで歩き回るたちである。
1時間ほど歩き回ったあと、搭乗ゲートの前の椅子に座っていると、また韓国人に韓国語で話しかけられる。
「I don’t speak Korean. I’m Japanese」
と答えると、その韓国人はなんと日本語で、
「日本人ですか。私、今、大阪に住んでいます」
と、とてつもなくキレイな日本語での返答。
えっ、えっ!!
日本語がこんなにキレイに話せるのに、日本人である私に韓国語で話しかけてくるってどういうこと?
よっぽど私の顔つきは韓国人なのだろうか。
しかし、韓国人に間違われて損をしたことは基本的にないどころか、在日韓国人のお友達が多いという、どちらかというとありがたいことの方が多い。
在日韓国人の友人に、
「え、在日韓国人じゃなかったの?ずっとそう思ってたんだけど」
と言われたこともある。
どちらにしろ、私は韓国人によくある顔だということなのだろう。
さて、大阪在住の韓国人の女性は、
「すみません。このゲートに行きたいんですけど、迷ってしまったようで・・・」。
という。
私もバンコクの空港ははじめてだが、すでに端から端まで歩き回ってしまったので、この女性にゲート番号を見せられても、すんなりと、場所がわかってしまった。
「案内しましょう」と言って、その女性が行くべきゲートまで案内をする。
その途中、大学院の先輩に出会う。
同じ日に同じ飛行機でエチオピアに行くということはなんとなく聞いていたので、どこかで、出会うだろうとは思っていた。
なので、何の驚きもなく、
「あ、こんにちわ。今、ちょっと人助けしてるので、また後ほど」
と大学のキャンパス内ですれ違ったかのような言葉を交わす。
女性を送り届けたあと、のんびりと免税店を見て回りながら、搭乗ゲートまで行く。
私は外国に行くと、必ずと言っていいほど道を聞かれる。
現地に住んでいる人でさえ、私に道を聞くことがある。
緊張感がないのか、現地に溶け込むのがうまいのか、喜んでいいのか、悪いのかよくわからない。
さて搭乗時刻になりエチオピア航空の飛行機に乗り込む。
この飛行機の中が、またまた大爆笑だった。
乗客が全員乗り込んで、いざ出発というときに、出発時刻がいきなり2時間後に変更となる。
乗客のイライラをなだめるためか、離陸していないにもかかわらず食事が運ばれる。
空港に止まったままの飛行機の中で食事をするなんてはじめてだった。
さて、私の座った席は一番後ろの席で壁の前。
壁の前なのでリクライニングシートが倒れない。
倒れないどころか、普通の椅子以上に垂直になっている。
初めてのエチオピアだったので、窓から景色を見ようとわざわざ窓際をお願いしたものの、一番うしろの席なので窓がない・・・(涙)。
座席にはパーソナルテレビが取り付けられていたので、最初は、「お、エチオピア航空なかなかやるな」と思ったものの、そのテレビは壊れていて映らない・・・。
これがアフリカの国の飛行機である。
食事を済ませて落ち着いたので、アムハラ語(エチオピアの公用語)のテキストを眺めてみる。
隣に座ったエチオピア人らしき方が英語で私に話しかける。
「アムハラ語を勉強しているのか?」
「エチオピアに何をしに行くのだ?」
というような質問からはじまり、エチオピアに着いたら、どこどこに行くのが良い、と色々と教えてくれるものの、まったく土地勘のない私は、彼が一体どこの話しをしているのか、見当もつかずにただただ、頷くしかない。
最後に彼は、名刺を一枚差し出して、エチオピアに着いたら、ぜひ連絡をくれ、という。
私の携帯の番号も聞かれたが、あいにく、エチオピアで機能する携帯電話を私は持ち合わせていなかった。
そうこうしているうちにワインをたくさん飲んだせいかいつのまにか眠っていた私。
眼が覚める頃には、飛行機は着陸の準備に入っていた。
飛行機であらゆることが思い通りに進まないアフリカの雰囲気を十分に味わうことができた私。
エチオピアについたら、なにもかも楽しむことにしようという意識がさらに高まるのだった。
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