エチオピア滞在記(2003年10月4日):はじめてのバンコクで半日
はじめてのバンコク散歩してみたら暑さと匂いやさしさもらう
伊瀬義治
バンコクの朝は遅い。
6:30になっても夜が明けない。
外はまだ、暗い。
でも、暑い。
昨晩と同様にテレビをつけてニュースを見るが、タイ語でさっぱりわからない。
リモコンでチャンネルをぽちぽち押してMTVのところで止める。
タイ語の歌と洋楽がごちゃまぜになって流れてくる。
しばらくぼーっとしてからベッドから抜け出して、着替えて、そのまま朝食を食べにロビーへ向かう。
腕時計の時刻は7:00。
食堂には誰もいない。
営業をしているのか、していないのかわからないほどの静けさとひと気のなさ。
キッチンの奥にいたスタッフに声をかけ、朝食を準備してもらう。
朝食はいたって普通のトーストとスープと目玉焼き。
朝食を食べ終わるとまた眠くなったので部屋に戻りベッドに入って1時間ほど眠る。
8時に起きて水のシャワーを浴びる。
最初は冷たく感じるが浴び終わると体がホクホクしてくる。
インドに1週間ほど滞在したときの水浴を思い出す。
暑いので、水シャワーでも全然問題ない。
10時までベッドでゴロゴロしながらテレビを眺め、その後チェックアウトをする。
荷物をフロントに預けて町へ出る。
バンコクに寄った目的は、エチオピア行きの航空券を受け取ることなので、宿泊場所があるNational stadiumからBTSで駅2つ先にあるトラベルエージェントに向かう。
そこには巨大なショッピングセンターが3つほどあるが開いていない。
土曜日だからやっぱり朝は遅いのかなと思いながら適当にぶらぶらと街の中を歩いて時間をつぶす。
トラベルエージェントとの約束が11:00だったので、45分ほどうろうろしたあとトラベルエージェントへ行く。
しかし、アポを取っていた担当の人がいない。
「11:00に約束しているんですけど」
と、その場にいた職員に伝えると
「あのー、まだ10:00なんですけど・・・・・・」
と言われる。
飛行機の中で時計をタイ時間に合わせる際に間違えたようだ。
どうりで朝が遅いと感じるわけだ。
これで、あらゆることのつじつまが合う。
6時になっても明るくならない空。
そりゃ、5時だったわけだから、まだ暗いだろう。
7時になっても開かないホテルの食堂は6時だったから開いていないわけだ。
レストランの従業員にはちょっと失礼なことをしたかもしれない。
トラベルエージェントの職員には出直しますと伝え、外へ出ると、外はようやく活気が出始めた頃。
10:00になって町が動き出したようだ。
1時間ほど近くをフラフラと歩くことにする。
バンコクの印象は野良犬が多い。
そして、信号がほとんどない。
車がビュンビュン走っているところをみな上手にタイミングを見計らって道路をわたっている。
そして、笑えることに野良犬たちも上手にタイミングを見計らって道路をわたる。
慣れない日本人よりも野良犬のほうがはるかに道路を渡るのはうまい。
野良犬たちは人間のように走って無理に道路をわたることはしない。
タイミングを見て、のそのそ、てくてくと余裕を感じさせる横断をする。
喉が渇いたので、屋台で売られているオレンジジュースを購入。
とってもおいしい。
オレンジジュースと思って飲んでいたけど、後々考えるとパッション・フルーツだったのかもしれない。
甘くて、すっぱい刺激があった。
これはかなりおすすめだ。
そのうち、お腹も空いてきたので屋台でパイナップルの切り売りを買う。
10バーツ。
安い。
1人じゃ食べきれないほどの量。
外を歩いているとさすがに暑くなってきたのでショッピングセンターの中をぶらつく。
日本やアメリカのショッピングセンターとあまり変わらない雰囲気。
朝BTSに乗った時もそう思ったけど、私がイメージしていたバンコクと何か違う。
町行く人々の顔立ち、ファッションがどことなく日本と似ているからだろうか。
緊張感もあまりわかない。
日本と違うのは暑さと街に漂うフルーツが熟したような生ゴミの匂いとBTSの下りのエスカレーターが止まっていても、気にせず歩いて降りる人々だろうか。
11:00になり再度、トラベルエージェントを訪問しエチオピア行きのチケットを手に入れる。
トラベルエージェントの相手は日本人。
「へー、エチオピアに行くんですか?タイにはいつ来られたんですか?」
「昨晩です」
「それで、今日、もう発たれるんですね。でも、それが多分いいですよ。バンコクに長くいるとドボンしますよ。食べ物も美味しいし、日本食も結構美味しいですよ。お寿司なんて日本よりもいいネタ使っていて、そして安いですよ。時間があれば行ってみてほしいですけどね。でも、あまりバンコクに長くいない方がいいですよ。本当にエチオピアに行くこと忘れて、ドボンしますから。」
こんなような会話をして、街に出る。
さて、チケットを無事に入手したものの、まだまだ飛行機の出発時刻までには時間があるので、とりあえず王宮に行こうと思い、まずカメラを取りにホテルに戻る。
そして、ホテルからちょっと歩いたところで、トゥクトゥクに乗る。
「王宮まで行って」と言うと、
「200バーツ」との答え。
「20バーツにまけてくれ」と言ってみる。
すると
「150バーツ」という答。
とりあえず、乗れと言われたのでトゥクトゥクに乗る。
途中で、「トゥクナムに行こう」と片言の英語でドライバーが言う。
「そこは何だ?」
と聞くとどうやらショッピングセンターのようだ。
リベートでももらえるのかしきりに勧められる。
「King’s Palace」と強い口調で言うと、「わかった、わかった」というものの、王宮とは反対方向に向かって走り出す。
どこへ行くのだろうかと思いながら、絶対にお金は払ってやらないと心に決める。
するとトゥクトゥクの溜まり場に到着。
そこで、別のドライバーを大きな声で呼び、何か言っている。
「お前King’s Palaceに行け」
と言ってるようだ。
運転手が変わってトゥクトゥクは走り出す。
少し行くと止まって交渉が始まる。
「100バーツでどうだ」
「ダメだ」
「じゃ、80バーツでどうだ」
「ダメだ」
「じゃ、いくら?」
「40バーツ」
「わかった」と言い、トゥクトゥクはUターン。
再度トゥクトゥクの溜まり場に戻る。
「あいつが連れて行くから」と言われ、またトゥクトゥクを乗り換えさせられる。
この時点でお金はまだ一銭も払っていない。
乗り換えたトゥクトゥクが走り出す。
運転手はおとなしそうなおじさん。
おじさんは黙って、王宮方面に向かって走り出す。
しかし、実際に乗ってみてびっくり。
王宮までの道は渋滞してたこともあり、1時間ほどかかった。
そりゃ、運転手の皆様、嫌がるはずだ。
しかし、おとなしそうな運転手は何も言わず黙って王宮まで行ってくれた。
うれしかったので、80バーツを渡した。
なんだかんだ言って、やっぱりバンコクはいいところだと思う。
実は、今回バンコクのことについてはほとんど調べてこなかった。
半日の滞在でチケットを受け取らなければいけなかったということと、初めてのバンコクだったので、何かと時間が取られると思っていた。
あとは、本業であるエチオピアのことを色々と調べたり、準備をしなければいけなかったので、時間がなかったというのが正直なところである。
バンコクのロンリープラネットを購入しただけで、それも読まずに結局バンコクまで来てしまった。
時間が思いのほか余ったので、とりあえずどこに行こうか、と考えて思いついたのが王宮だった。
まぁ、外国人が東京駅に到着して、ちょっと時間があるけど、どこ行こうか?と考えた時にとりあえず「皇居」と考える、そんなものかもしれない。
実際に、私は外国人ではないので、外国人が本当にそのような行動をとるのかわからないけど・・・。
もしかしたら秋葉原に行く人の方が多いかもしれない・・・。
王宮と同じ敷地の中にワットプラケオという寺院がある。
ロンリープラネットによると、この王宮とワット・プラケオは1782年にラーマ1世によって建築されたとのこと。
国内外の旅行者の一番人気だと書いてあり、ここにさえくれば、バンコクの歴史がわかると書いてあった。
王宮は現在、王様の住居としては使われておらず、幾つかの儀式を行う時にだけ利用されているようである。
中に入るとまず、衛兵が座っており、その向かい側に貸ドレスがある。
王宮の敷地内にはドレスコードがあるためである。
女性のタンクトップはダメ。
男性も襟付きでないと入れない。
長ズボンが必須で、サンダルもダメ。
ということで、王宮に入るために衣装を借りて着替える場所があるというわけ。
しかし、長蛇の列。
私の場合は、スニーカー、ジーパン、Tシャツだったので、シャツだけを借りて入場することにする。
無料だった(注:その数年後に有料になったという話を聞いた)。
王宮に来ると王様に対するタイ国民の敬意を伺い知ることができる。
敷地の中は、ため息が出るくらいに壮大で美しい建物が並ぶ。
バンコクの歴史を知らなくても、敷地の中を歩いているだけで楽しい。
ラーマ王子が鬼と戦う物語を描いた絵や、アンコールワットの模型などが置かれている。
もっと、色々と調べてくればよかったな、と後悔する。
とりあえず敷地内を一通り見て、王宮をあとにする。
王宮を出て、とりあえずフラフラとホテル方面に歩き出す。
途中のお土産屋さんで絵葉書を買ったりしてみる。
疲れたところで、タクシーを捕まえ、そのままホテルに直行。
ホテルで荷物を受け取り、再度タクシーを捕まえてホアランポーン駅に向かう。
今回も鉄道で空港に向かう予定。
夜ではなく、真昼間なので特に問題なく、空港まではいけると考えたのが、この鉄道がなかなかの曲者だった。
やはり知らない国で鉄道に乗るには、しっかりと勉強をしておいた方が良かったかもしれない。
「airport」と言って、なんとか切符を購入したものの、案内はすべてタイ語で書かれているので、どの電車に乗ったらいいのかよくわからない。
駅員さんに聞いて、とりあえず空港方面に行く電車に乗りこむ。
電車が走り出して気がついたのは、駅には駅名が書かれた標識がない。
つまり、どこで降りたらいいのかわからないのだ。
そもそも、駅らしからぬところで停車したりもする。
なんで、こんなところで停まるんだろう、と思うと、「そんなところ」で降りるお客さんもいるのだ。
標識のある駅で次の駅の名前を確認しても、その駅に着く前にその「駅らしからぬ」場所で電車は停車するので、自分が一体どこにいるのかがよくわからなくなる。
問題は空港はどの駅で降りれば良いのかわからないということ。
不安になったので近くにいる人に英語で聞いてみると「空港は次の駅だよ」と教えてくれた。
しかし、電車が次に止まったのはやっぱり「駅らしからぬ駅」だった。
ありがたいことに、尋ねたお兄ちゃんが「ここで降りるんだよ」と教えてくれた。
同時に、僕が空港に行くことを知るはずのないおばちゃんが、スーツケースを見たためか「あなた、ここよ」というような言葉を私に発して、私より先に電車を降りて行った。
またまた、タイのみなさまに助けられ、空港に到着。
短い時間だったけど、とてつもなく過ごしやすい国だなというのがタイの印象だった。
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