エチオピアがわかる本:ケイコ・キーン『消えた王国 王朝時代最後のエチオピア滞在記』感想
まず、著者のキーン・ケイコさんという方は、イギリス人の詩人であり、日本の大学でも教鞭をとっておられたデニス・キーンさんの奥様です。
デニス・キーンさんはエチオピアの大学でも教えていた経験があり、その時のエチオピアの思い出を奥様のケイコさんが綴ったのがこの本ということになります。
ちなみにケイコ・キーンさんは京都生まれの日本人です。
デニスさんが京都大学で教えていた際に、ケイコさんとデニスさんはご結婚されたようです。
さて、この本についてです。
前書きの第一文は「アフリカ東部、紅海に面したエチオピアという高地国家は、昔から戦争ばかりして、過去300年間いわゆる良き時代はなかった」とエチオピアのくらいイメージからはじまります。
なんともまぁ、すごいイメージからエチオピアを紹介してくれたもんだと思うのですが、この一文に色々な感情がこもっているのでしょう。
過去300年間まったくいい時代がなかったから、今もその過去を引きずっている部分もあれば、にもかかわらず町には笑顔が溢れていたり、多くの人々は汗を流しながら一生懸命働いていたり、と色々なエチオピアの話を展開させるのに良い前置きとなっているのかもしれません。
さて、本の感想です。
頻繁にエチオピアに対してあまり良い感情を抱いていないのかなという印象を受けるような書きっぷりが多くあります。
本の内容からも著者は「白人中流階級の人間」と思わせる上から目線的な発言が多かったように思います。
半分くらいこの本を読み終わった時点での印象は、よくありがちな中流階級の人間が好き勝手にエチオピアの人々について、気に入らないことを書いているんだなという印象を受けました。
しかし、最後まで読んでみると、エチオピアの人々がちょっとお金持ちの外国人とどのように日常的に接しているのか、正直に客観的に述べられているような気がしました。
エチオピアに対して良い印象を持っていないのではないか、という書きっぷりは、当時著者が感じたことを飾らずに綺麗に語らずに、そのまま正直に書いているからかもしれません。
当時のありのままのエチオピア人を知るには良い本なのではないでしょうか。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません