エチオピア滞在記(2003年10月8日):中途半端な街アジス・アベバ

2024年2月5日

今日もまた一人で歩く街のなか一人になれないアジスという街 

伊瀬義治

昨夜、ついにやられた。

といっても、強盗にあったわけではない。

食中毒。

どれだけ布団にもぐっても体は寒さで震える。

下痢がひどく、1時間おきにトイレに駆け込む。

犯人は夕食の生肉だと思われる。

エチオピアには牛肉を生で食べる習慣がある。

牛肉の塊を自分で一口サイズに切りながら、食べる生肉と、ミンチ状になった生肉をチーズと一緒に食べるという食べ方がある。

昨晩、食べたのはミンチの方て、「キットフォ(Kitfo)」と呼ばれる料理だった。

一緒にキットフォを食べた先輩二人も苦しんだらしい。

でも、その二人の先輩も意外と今日も元気。

笑顔で、

「やばいと思ったんだよね。だから、昨日、部屋に戻った瞬間に、抗生物質飲みまくった」

と話す先輩。

人のせいにするわけではないけれども、元はといえば、先輩が悪い。

エチオピアを良く知る日本人の方が、今度、美味しい生肉を食べに連れて行ってあげるから、と言っていたにもかかわらず、先輩が「今日、いっちゃう?いこうぜー」となり、私も引っ張りだされてしまった。

話は変わるが、昨日は、日本大使館に行く用事があった。

大使館には先輩と一緒に行ったものの、用事が済んでからは、大使館の前で先輩と別れて、ふらり、ふらりとまた今日も一人で歩きはじめる。

歩いていると、また一人の青年がついてくる。

青年の名前はダニエルというらしい。

今日はヒルトンホテルの裏側から、ラサンバ・ホテルに抜けてみる。

ラサンバ・ホテルの部屋の窓からその町並みを見ると、スラムのように見える。

しかし、実際に歩いていると、スラムではないということがわかった。

中には非常に綺麗な家もあり、人々はそれなりに綺麗な服を着て歩いている。

ハンドバックを肩にかけ、OLのようなスーツを着こなした女性が家から出てくることもある。

しかし、ダニエルに言わせると

「ここはゲトー(スラム)だ。お前がなんでこんなところを歩きたがるのかは知らないけど、エチオピアのこういう人々を見るのもいいだろう」

とのこと。

しかし、明らかにダニエルの身なりの方が汚い。

さて、このダニエル。歳は16歳という。

田舎から一人で出てきたらしい。

午前中は学校にいき、午後は仕事がなく、暇だとのこと。

工事現場で働こうと思ったが、職を得ることができなかったという。

一昨日のデビッドといい、ダニエルと言いそれなりの英語を話す。

もちろん、アムハラ語も話す。でも、仕事がない。

ふむ。

ダニエルは、イギリス人の友人が勉強するようにと本を送ってくれたが、受け取るのに150Birr必要という。

彼の説明によるとどうやら、関税らしい。

ホテルの入り口の階段に座り、一時間ほど彼の話を聞いたが、どうも説得力がない。

ということで、ダニエルには一銭も渡さなかった。

たまたま、お腹がいっぱいだったということもあり、今日はご飯も食べなかった。

そのうち、彼は帰っていったが、彼が私を騙そうとしていたのかどうかは、よくわからない。

初日に会ったエンデール(Endele)という青年も、よくよく考えると、騙しの手口である。

というのも、彼の身なりと手口がロンリープラネットの、アジスアベバで気をつけなければいけない人、というコラムに書いてあった。

最初に信用させておいて、次回にぼったくるのだろうか?

まだ、ぼったくられた感覚はない。

ん〜よくわからない。

とりあえず、アジス・アベバの印象は、なんか中途半端。

ご飯が美味しいようなそうでないような。

活気があるようなないような。

危険なようで、そうでないような。

ぼったくられているような、そうでないような。

そんな感じなのが、アジス・アベバの印象である。