エチオピア滞在記(2003年10月8日):中途半端な街アジス・アベバ
今日もまた一人で歩く街のなか一人になれないアジスという街
伊瀬義治
昨夜、ついにやられた。
といっても、強盗にあったわけではない。
食中毒。
どれだけ布団にもぐっても体は寒さで震える。
下痢がひどく、1時間おきにトイレに駆け込む。
犯人は夕食の生肉だと思われる。
エチオピアには牛肉を生で食べる習慣がある。
牛肉の塊を自分で一口サイズに切りながら、食べる生肉と、ミンチ状になった生肉をチーズと一緒に食べるという食べ方がある。
昨晩、食べたのはミンチの方て、「キットフォ(Kitfo)」と呼ばれる料理だった。
一緒にキットフォを食べた先輩二人も苦しんだらしい。
でも、その二人の先輩も意外と今日も元気。
笑顔で、
「やばいと思ったんだよね。だから、昨日、部屋に戻った瞬間に、抗生物質飲みまくった」
と話す先輩。
人のせいにするわけではないけれども、元はといえば、先輩が悪い。
エチオピアを良く知る日本人の方が、今度、美味しい生肉を食べに連れて行ってあげるから、と言っていたにもかかわらず、先輩が「今日、いっちゃう?いこうぜー」となり、私も引っ張りだされてしまった。
話は変わるが、昨日は、日本大使館に行く用事があった。
大使館には先輩と一緒に行ったものの、用事が済んでからは、大使館の前で先輩と別れて、ふらり、ふらりとまた今日も一人で歩きはじめる。
歩いていると、また一人の青年がついてくる。
青年の名前はダニエルというらしい。
今日はヒルトンホテルの裏側から、ラサンバ・ホテルに抜けてみる。
ラサンバ・ホテルの部屋の窓からその町並みを見ると、スラムのように見える。
しかし、実際に歩いていると、スラムではないということがわかった。
中には非常に綺麗な家もあり、人々はそれなりに綺麗な服を着て歩いている。
ハンドバックを肩にかけ、OLのようなスーツを着こなした女性が家から出てくることもある。
しかし、ダニエルに言わせると
「ここはゲトー(スラム)だ。お前がなんでこんなところを歩きたがるのかは知らないけど、エチオピアのこういう人々を見るのもいいだろう」
とのこと。
しかし、明らかにダニエルの身なりの方が汚い。
さて、このダニエル。歳は16歳という。
田舎から一人で出てきたらしい。
午前中は学校にいき、午後は仕事がなく、暇だとのこと。
工事現場で働こうと思ったが、職を得ることができなかったという。
一昨日のデビッドといい、ダニエルと言いそれなりの英語を話す。
もちろん、アムハラ語も話す。でも、仕事がない。
ふむ。
ダニエルは、イギリス人の友人が勉強するようにと本を送ってくれたが、受け取るのに150Birr必要という。
彼の説明によるとどうやら、関税らしい。
ホテルの入り口の階段に座り、一時間ほど彼の話を聞いたが、どうも説得力がない。
ということで、ダニエルには一銭も渡さなかった。
たまたま、お腹がいっぱいだったということもあり、今日はご飯も食べなかった。
そのうち、彼は帰っていったが、彼が私を騙そうとしていたのかどうかは、よくわからない。
初日に会ったエンデール(Endele)という青年も、よくよく考えると、騙しの手口である。
というのも、彼の身なりと手口がロンリープラネットの、アジスアベバで気をつけなければいけない人、というコラムに書いてあった。
最初に信用させておいて、次回にぼったくるのだろうか?
まだ、ぼったくられた感覚はない。
ん〜よくわからない。
とりあえず、アジス・アベバの印象は、なんか中途半端。
ご飯が美味しいようなそうでないような。
活気があるようなないような。
危険なようで、そうでないような。
ぼったくられているような、そうでないような。
そんな感じなのが、アジス・アベバの印象である。
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