エチオピアの暴動とノーベル平和賞

2020年11月3日

2019年10月11日にエチオピアの首相アビィ・アハメド氏がノーベル平和賞を受賞したとのニュースがありました。

その功績というものは、長期に渡ってある種の冷戦状態が続いていた隣国エリトリアとの和平が樹立され、国境が数十年ぶりに開放されたということと、エチオピア国内および周辺国に平和をもたらす努力をしている、というものでした。

しかしながら、エチオピア国内はまだまだ難しい状況が続いているようです。

以下、2019年10月29日にBBCのウェブサイトで配信されたニュースです。

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「エチオピアの暴動で数百名が逮捕」

先週の民族・宗教的緊張が引き起こしたと考えられる暴動に関与した疑いがあるとして、オロミア州で359名が逮捕されたとエチオピアのオロミア州警察が発表した。

正式発表によると、影響力のあるオロモ人活動家とジャーナリスト、ジャワール・モハメッド(Jawar Mohammed)のボディーガードが殺害され、ジャワール氏自身の命が危険に晒されたことにより暴動が発生し67名が殺害されたという。

オロミア州政府の警察署長カフヤリュウ・タフェラ(Kefyalew Tefera)は、捜査が進むに連れて逮捕者は増える可能性があるとBBCに伝えた。

カフヤリュウ氏はまた、3つの教会とイスラム教寺院が騒乱によって燃やされている伝え、エチオピア正教会の上級役員は、60人もの信者が殺されたとBBCに伝えている。

首都アジス・アベバから西方100kmに位置する街、アンボでは抗議に参加した人々は地方警察官によって撃たれ、殺されたと警察署長は伝えている。

暴動が起きた地域には現在、軍が配備されている。

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この出来事について、日本語のメディア、東京新聞、時事通信、AFP通信は、ジャワール・モハメッド氏が地方警察が自身への攻撃を画策している、と宣言したのちに生じ、アビィ首相のノーベル平和賞受賞に対する抗議だと報道しています。

さて、そこでアビィ首相のノーベル平和賞について考えてみたいと思います。

私は個人的に、平和構築に貢献したアビィ氏に賞が与えられたというよりは、平和を構築しようとしているアビィ氏にノーベル財団がお墨付きを与えた、釘を刺した、ということではないかと思っています。

お墨付きを与えた、という点は、アビィ氏にノーベル平和賞を与えることで、アビィ氏に協力する人々、組織が増える可能性があり、結果としてエチオピア国内及びその周辺地域の平和構築に貢献できる、と考えたからではないでしょうか。

釘を刺した、という点においてはアビィ氏に対して、思い通りにいかなくても無分別な行動を取らないように、という牽制ではないでしょうか。

エチオピアという国をまとめるのは、やはりまだまだ難しい状況にあると思います。

そのような中で、過去の政権は多くの人権侵害を犯してきました。

人権侵害を犯すことにより、その国の平和はどんどん遠のいていきます。

そういう意味で、アビィ氏のノーベル平和賞受賞は、みんなアビィ氏を応援しよう、そして、何があっても人権侵害を起こすことはないようにアビィ首相の行動を制限する、という意図があったように思えるのです。