2019年7月18日:エチオピアのシダモ地域で動乱発生

2020年9月5日

エチオピアのシダモ地域で動乱が発生した模様。

「シダモ」という名前でピンとくる方は多いかと思いますが、シダモはエチオピアの中でも高品質なコーヒー豆を生産している地域です。

今現在、扱っているのかどうかわかりませんが、一時期スターバックスでもエチオピア・シダモという名前のコーヒー豆がありました。

もちろん、このシダモ地域で生産されたコーヒーです。

また、シダモ地域の中心部であるアワサ(Hawasa)は、アワサ湖の湖畔にある町で、非常に平和な落ち着いた学生の多い町でした。

私も何度か宿泊したことがあります。

仕事で近くに来たのであれば、ちょっと無理してでもアワサまで行き、アワサで宿泊をする、といったエチオピアの中でも本当に落ち着いた、心地の良い町でした。

そんなシダモ地域で動乱(と呼んでいいのかわかりませんが)が発生したとのことで、驚いております。

前回のブログでも書きましたが、昨年アビィ・アハメド・アリ(Abiy Ahmed Ali)氏が新しく首相に就任し民主化を推し進めてきましたが、それがかえってあらゆる地域での既得権益やパワーバランスを壊してしまい、暴動、動乱などとは無縁だった地域でもあらゆる混乱が生じるようになっている気がします。

そして、今回の混乱の背景にも同じような背景があるような気がします。

まず、エチオピアですが、エチオピアは現在9の自治州と2つの自治区に分かれております。
1)アディス・アベバ自治区
2)アファール州
3)アムハラ州
4)ベニシャングル・グムズ州
5)ディレ・ダワ自治区
6)ガンベラ州
7)ハラリ州
8)オロミア州
9)ソマリ州
10)南部諸民族州
11)ティグレ州

お気付きの通り、現在の自治区や州に「シダモ」という名前はありません。

シダマ人が住むシダモ地域は、南部諸民族州に含まれており、シダモ地域の中心部であるアワサは、南部諸民族州の州都になっています。

さて、この地域の近年の動きですが、昨年、アビィ・アハメド・アリ(Abiy Ahmed Ali)氏が新しく首相に就任した後、シダマ人は、自分たちの独立した「州」を持ちたいということで、嘆願書を中央政府に提出しておりました。

エチオピアの憲法には、嘆願書が提出された後、中央政府は1年以内に新たな「州」を認めるかどうかの住民投票を開催しなければいけない、と決められています。

一週間前の7月18日の木曜日が住民投票を行わなければならない期限だったのですが、中央政府は住民投票をそれまでに開催しなかった(できなかった)わけです。

このような事態を受けてシダマの代表は7月18日のシダマ地域の自治区または州の成立を宣言するとしていました。しかし、中央政府は5か月以内に住民投票を実施すると約束し、多くのシダマ人はそれを受け入れたようです。

この動きに賛成できなかったシダマ人が反対デモを起こしたということが今回の動乱の直接の原因です。

しかし、現在、シダモ地域には高品質なコーヒー生産地、世界規模のアパレル産業の生産地、良質な大学などがあり、そのような地域が独立した行政区として力を持つことには、やはり何らかの抵抗があるのかもしれません。

参考までにBBCのニュースサイトによりますと、公式発表では治安部隊とデモンストレーターの衝突によって25名もの死者が出たようですが、シダマ人の活動グループの発表では60名前後の死者が出ているとのことです。