エチオピアがわかる本『エチオピアのユダヤ人 イスラエル大使のソロモン作戦回想録』(アシェル・ナイーム)
エチオピアの歴史の一面を知るという点で面白い本です。
エチオピアにはベタ・イスラエル、ファラシャと呼ばれるユダヤ人がいます(ファラシャとは主に、非ユダヤ人がエチオピアに住むユダヤ人を呼ぶ際に使われる呼称です)。
イスラエルには、ユダヤ人の子孫であるものに対して、イスラエルの市民権を与えるという帰還法というものがあるそうです。
その法律に基づいて、イスラエルは1984年にモーゼ作戦、1991年にはソロモン作戦と称して飢餓や社会主義政権下で苦しめられているエチオピアに住むユダヤ系の人々をイスラエルに輸送する作戦を展開しました。
以前、紹介させていただいた『約束の旅路』という本は、「自分はユダヤ人の子孫である」と偽って飢餓のエチオピアからイスラエルへと逃げ出した少年のイスラエルでの生活の話でした。
https://eyes-on-ethiopia.com/?p=1028
本書は、ソロモン作戦が行われた当時、在エチオピア・イスラエル大使だったアシェル・ナイム氏によって書かれた、ソロモン作戦の内実です。
参考までに、アシェル・ナイム氏はいくつかの国の大使として勤務しているのですが、大使として一番最初に赴任したのは日本だそうです。
さて、この本は解説にも書いてある通り、国際関係の本であ理、当時の西洋諸国がどのようにエチオピアと関わってきたのかを深く知ることができる本です。
あらゆる国の外交戦略を知ることができる興味深い本となっています。
また、社会主義政権末期のエチオピアの状況を知ることができると同時に、当時のエチオピアのインフラの状況についてもふれられている箇所もあり、よく学べる本だと思いました。
しかし、最後まで疑問が残るのはなぜ、イスラエルはそこまでしてユダヤ系の民族をイスラエルに集める必要があったのか、ということです。
宗教的な問題ではなく、軍隊として利用できる人々を集める、という側面もあるのではないかと考えてしまいました。
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