エチオピア・ティグレ危機:新たな人権侵害の発生
アムネスティ・インターナショナルが11月12日にエチオピア北部のティグレ州のマイカドラで、一般市民に対する虐殺が起こり、深刻な人権侵害であるということを報告しました。
この虐殺について、エチオピア人権委員会(委員長はアビィ首相が任命)は11月24日、少なくとも600人以上が殺害されており、ティグレ人の「サムリ」というグループの犯行であると報告しています。
このような殺人に及ぶような人権侵害ではないものの、エチオピア中で民族プロファイリングが発生しているとBBC Newsが伝えています。
民族プロファイリングではなく、人種プロファイリングという言葉はよく聞くかと思います。
人種プロファイリングとは英語のRacial profilingの日本語訳ですが、人種を根拠として捜査を行ったり、職務質問を行ったり、更には拘留したりすることです。
例えば、肌が黒いという理由だけで職務質問をしたり、家宅捜査を行ったり、逮捕したりする行為のことを言います。
民族プロファイリングとは英語でEthnic Profilingと言いますが、民族を根拠にした捜査や勾留が行われるというものです。
このような民族プロファイリングがエチオピアで、ティグレ人に対して、起こっているようです。
BBC newsによると、20年間警察官として働いてきたティグレ人の女性は紛争がはじまった二日後に警察署から呼び出されて、政府の所有物と銃の返還を求められたと言います。
また、この女性によるとティグレ人の高官も同じような扱いを受けたようです。
また、14年間も連邦軍の兵隊として従事しているティグレ人の男性も、90名ほどの兵隊と一緒に勾留されたと話しているようです。
彼の話によると、全員ティグレ人で電話を没収され、戦争の捕虜のような扱いを受けたようで、彼らを捕らえた人物は、上からの命令だと彼らに伝えたようです。
捕らえられた兵隊の中には、社会主義政権と戦った経験のあるものもいれば、アフリカ連合によってソマリアに派遣された経験があるものもいるようで、男性は、これまで国のために勤めてきたのに、このような仕打ちを受けるなんて考えてもみなかったと話しているようです。
このような民族プロファイリングは一般市民にも及んでおり、日常生活を行なっているだけで家宅捜査をされたり、逮捕されたりする人が出ているようです。
またエチオピア航空のような国営企業の職員は、連絡があるまで強制的に休暇をとるように指示されているとのことです。
BBC Newsが指摘する通り、ティグレ人はティグレ州だけに住んでいるわけではなく、前政権をティグレ人が握っていたということもあり、エチオピア全国に居住しています。
また、もちろん民族間での通婚も頻繁にあり、血の混じった子どももたくさんおります。
このような状況のなか、今後、エチオピアがどのようになっていくのか不安です。
他にも自治を求める州や人々がエチオピアにはたくさんおり、この混乱の中、他の地域でも蜂起が発生する可能性があるという専門家もいます。
ユーゴスラビアのように解体してしまった方が人々は幸せなのかもしれませんが、これ以上の人権侵害や血が流れることはどうにか避けて欲しいと願うばかりです。
参考にした記事
BBC NEWS 2020/11/26 Ethiopia’s Tigray crisis: Fears of ethnic profiling stalk conflict
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